古物商許可ガイド(2)古物商許可が必要な場合・不要な場合

古物営業法はわかりづらい表現が多く、これから事業(副業)を始めようとしている方で、その事業に古物商許可が必要なのか不要なのかの判断に迷われる方も多いかと思います。本ガイドでは、古物商許可が必要かどうかの判断方法をわかりやすく解説しております。知らず知らずのうちに無許可営業になってしまわないように注意しましょう。

 

古物商許可が必要かどうかの判断方法

古物商許可が必要か不要かの判断は以下の3つを確認し、すべてに該当する場合は古物商許可が必要になります。

  1. 取り扱う物が「古物」に該当するか
  2. その古物が「13品目」に該当するか
  3. 取引方法が「古物営業」に該当するか

取り扱う物が「古物」に該当するか

まず、取り扱う物が古物営業法上の「古物」に該当するのかを確認します。「古物」とは以下のものをいいます。

  1. 一度使用された物品
  2. 使用されない物品であっても使用のために取り引きされた物品
  3. 上記1.2.に幾分の手入れをした物品

※「使用」とはその物品本来の用法に従って使用することをいいます(衣類であれば着用することなど)。

※「物品」には鑑賞的美術品や商品券、乗車券、郵便切手などの「金券類」が含まれますが、船舶、航空機、工作機械などの大型機械類は含まれません。

 

  1. については、一般的な意味の「中古品」と考えて問題ありません。
  2. については、新品であっても自分が使用する、または他人に使用させる目的で購入などがされたものをいいます。つまり、小売店などから一度でも消費者の手に渡ったものは、それがまだ使用されていない物品(新品)であったとしても「古物」に該当します。具体例として下記の「新品を購入して転売する場合」をご参照ください。
  3. については、本来の性質や用途に変更を加えない修理などをおこなうことをいいます。

 

その古物が「13品目」に該当するか

次にその古物が古物営業法施行規則で定める古物の区分13品目に該当するのかを確認します。


美術品類

あらゆる物品について、美術的価値を有しているもの

【例】絵画、書、彫刻、工芸品、登録火縄銃・登録日本刀



衣類

繊維製品、革製品等で、主として身にまとうもの

【例】着物、洋服、その他の衣料品、敷物類、テーブル掛け、布団、帽子、旗



時計・宝飾品類

そのものの外見的な特徴について使用する者の嗜好によって選択され、身につけて使用される飾り物

【例】時計、眼鏡、コンタクトレンズ、宝石類、装飾具類、貴金属類、模造小判、オルゴール、万歩計



自動車

自動車及びその物の本来的用法として自動車の一部として使用される物品

【例】自動車、タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラー、農機具(ナンバープレートあり)



自動二輪車及び原動機付自転車

自動二輪車及び原動機付自転車並びに、その物の本来的用法として自動二輪車及び原動機付自転車の一部として使用される物品 

【例】自動二輪車、原動機付自転車、タイヤ、サイドミラー



自転車類

自転車及びその物の本来的用法として自転車の一部として使用される物品

【例】自転車、空気入れ、かご、カバー



写真機類

プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光器等

【例】カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学機器



事務機器類

主として計算、記録、連絡等の能率を向上させるために使用される機械及び器具

【例】レジスター、タイプライター、パソコン、ワープロ、コピー機、ファックス、シュレッダー、計算機



機械工具類

電機によって駆動する機械及び器具並びに他の物品の生産、修理等のために使用される機械及び器具のうち、事務機器類に該当しないもの

【例】工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機、太陽光パネル(太陽光発電施設一式含む)、農機具(ナンバープレートなし)



皮革・ゴム製品類

主として、皮革又はゴムから作られている物品

【例】鞄、バッグ、靴、毛皮類、化学製品(ビニール製、レザー製)



書籍

【例】文庫、コミック、雑誌、辞書



金券類

品券、乗車券、郵便切手その他古物営業法施行令第1条で定めるもの

【例】商品券、ビール券、乗車券、航空券、各種入場券、各種回数券、郵便切手、収入印紙、オレンジカード、テレホンカード、株主優待券



道具類

上記12品目に掲げる物品以外のもの

【例】家具、楽器、運動用具、CD、DVD、ゲームソフト、玩具類、トレーディングカード、日用雑貨



13品目に該当しないもの

化粧品、薬品、お酒、食品 など

※実際は曖昧な部分や判断が難しいケースもあり、場合によっては古物として該当する可能性もあります。

取引方法が「古物営業」に該当するか

最後にその古物の取引方法が古物営業法に定める「古物営業」に該当するのかを確認します。「古物営業」とは以下の営業をいいます。

  1. 古物の売買・交換などをする営業

  2. 古物市場の経営をする営業

  3. 古物の売買をしようとする者のあっせんを、インターネットを利用した競りの方法で行う営業

 

上記1.の「古物の売買・交換などをする営業」を行うために公安委員会から許可を受けた者を「古物商」といいます。「古物の売買・交換などをする営業」とは具体的には以下のものが該当します。

古物営業に該当するもの

  1. 古物を買い取って売るとき
  2. 古物を買い取って修理をして売るとき
  3. 古物を買い取って使える部品を売るとき
  4. 古物を買い取ってレンタルするとき
  5. 古物を買い取らないで売った後に手数料を貰うとき
  6. 古物を別の物と交換するとき
  7. 国内で買い取った古物を国外に輸出して売るとき
  8. 上記1.~7.をネット上で行うとき など

 

以下のものは「古物の売買・交換などをする営業」に該当しません。

古物営業に該当しないもの

  1. 自分の物を売るとき(転売目的で購入した物は含まれません)
  2. 無償で貰った物を売るとき
  3. 新品を購入して転売するとき(新品の意味については下記参照)
  4. 手数料等を取って回収した物を売るとき など

新品を購入して転売する場合

新品を購入して転売するときは注意が必要になります。例えばAが家電量販店から新品のゲーム機を購入し、Bに転売する場合は、Aは古物商許可は必要ありません。しかし、Bがこのゲーム機をCに転売する場合は、たとえ新品であったとしても、1度でも消費者(この場合はA)の手に渡った物は古物営業法上の「古物」に該当し、また、Bは古物の売買(古物営業)をおこなっていますので、Bは古物商許可が必要になります。

 

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